昨日の現場です。
腕木(腕棒)式巻き上げテントの張替工程を御覧いただきます。
40年前は、テント屋の仕事と言えば、この腕木(腕棒)式巻き上げテントがほとんどでした。
今は、アルミフレームのいわゆる「オーニング」をお使いになるお客様が多く、数が少なくなってます。
写真は、張替工程の途中からです。
写真の前段階で、
1、両サイドの腕木(腕棒)を先棒(前棒)からはずす。
2、先棒(前棒)を生地から抜く。
3、生地を巻いたまま元棒(巻取棒)をはずす。
4、生地から元棒(巻取棒)を抜く。
5、地上で、新しい生地に元棒(巻取棒)を挿入し固定する。
6、生地を仮巻きした元棒(巻取棒)を建物に付いている金具と巻取機にかけて固定する。
の工程を済ませています。
それでは、参ります。
仮巻きしていた生地をほどいて垂らします。
まだ先棒(前棒)は入っていません。
横から見た写真です。
生地下端が袋になっています。そこに先棒(前棒)を挿入します。
元棒(巻取棒)も同じ様に袋状に縫製された部分に入っています。
先棒(前棒)を挿入し、左右の腕木(腕棒)をL字型の金具(エルボ)で繋ぎます。
エルボとは、英語のelbow、肘(ひじ)の事です。
腕木(腕棒)を水平にした位置で生地を固定します。
この時、先棒(前棒)は地上から1.5m程の高さ、頭がぶつかってしまいます。
どうするのか?
左右の腕木(腕棒)は伸縮式になっています。
先ほどの水平の位置のまま、腕木(腕棒)を伸ばします。
これで地上から2m弱の高さになり、人が通れるようになりました。
普段、使う時はこの形になります。
前から見た姿です。
先棒(前棒)が微妙に反っているのが分かりますでしょうか?
間口に対して比較的細いパイプを使うので、まっすぐなままでは自重で垂れたり、生地に載る雨水の重さなどで垂れたりします。
パイプ中央が垂れてしまうと、生地がゆるみ、ますます雨が溜まるようになってしまいます。
それを防ぐ為に、パイプを僅かに曲げて反りを付けます。
これをベンド(bend)と呼びます。
腕木(腕棒)を元通りに縮めて生地を巻取って収納です。
伸ばしたままだと、最後まで巻取れません。
これで完成です。
腕木(腕棒)式巻き上げテントは、先棒(前棒)の重さを利用して、地球の重力で開閉し、また生地に張力を与えています。
そして、細い先棒(前棒)の微妙な反り(ベンド)が、綺麗な張りと雨水のスムーズな流れを作ります。
ひとつの「職人技」で、ちゃんとした腕木(腕棒)式巻き上げテントが出来上がります。
腕木(腕棒)式巻き上げテントの新規製作や生地張替。
鳴海テントにご用命いただけば、昔ながらの「職人技」で、張りのあるシャンとしたテントに仕立ます。
参考資料
使用テント生地 テイジン ニューパスティ 8887FP